廊下には大勢の人たちが思い思いに行き交い、普段は授業が行われている教室の数々は様々なイベントや模擬店の会場に姿を変えている。
								「いや〜。感動的なお話だったね〜」
								
								映画研究会の自主制作映画を観た。
ストーリーはありきたりと言えばありきたりだったが、逆に言えばわかりやすく、素直に楽しむことができる内容だった。
								「特にラスト直前で、去り行く先輩の背中に "俺、忘れませんから!" って叫ぶシーンは泣けたなぁ。
あ、思い出したらまた目から鼻水が垂れてきちゃった」
								
								あ、思い出したらまた目から鼻水が垂れてきちゃった」
キリエはハンカチを取り出して目頭を押さえる。
ハンカチを畳み直してスカートのポケットに入れ、まだ充血している目で微笑む。
								「泣くのって、娯楽だね」
								
							