それなのに。
どうしても足が地面から離れてくれない！
「なんで死ねないんだよ……」
怖い？ そんなんじゃない。
思い残すことがある？ そんなんじゃない。
死ぬと決断したのは本当だ。その意志に嘘も偽りもない。
だけど、無理なんだ。
「俺がここにいるのは俺の意志じゃないんだ。
生まれてきたことも、生き続けてしまったことも。
だったら死ぬことぐらい、俺の意志で決めなきゃ、生きてる意味ないじゃないか」
生まれてきたことも、生き続けてしまったことも。
だったら死ぬことぐらい、俺の意志で決めなきゃ、生きてる意味ないじゃないか」
消えてしまいたい。
生きることも死ぬこともできない。
だったら消えてしまいたい。
今すぐ、この瞬間。
もうたくさんだ。あと一瞬だってうんざりだ。
「なぁ、キリエ」
「なぁに？」
「俺を殺してくれよ」
「死ぬのは難しいね」
キリエがそっと近付いてきた。
その場にしゃがむ。目の高さが俺と同じになった。
「死ぬのはすごく難しいね。すごく、すごく難しい。
この世で生きて何をするよりも難しい。
自分の意志で死ぬことがこんなに難しいだなんて、世の中に生きてるほとんどの人は知らないだろうね。
それを知らずに、知らないからこそ、なんとなくのイメージだけで、好き勝手なことを言ってるんだ。
自殺は悪いことだとか、自殺せずに生きてる自分たちの方が心が強くで人間として一人前なんだとか。
自分の意志で死ぬことがどんなに難しいことなのか知りもしないくせにね。知ろうともしないくせにね。
でも本当は心のどこかで気付いてるのかもしれない。だからこそ、怖がって、直視するのを避けてしまう。
目を逸らして、それこそゾンビのように、死にもせず、生きもせず、自分の意志を持たずにさまよってるんだ。
自分の意志で死ぬのがどんなに難しいことなのかは、自分の意志で死のうとしてみないとわからない。
死ぬことを直視して、本気で死のうとしない限り、わからない。
亮ちゃんは今、ほとんどの人が本当には知らない、自分の意志で死ぬことの難しさを知ってる人になったんだ」
この世で生きて何をするよりも難しい。
自分の意志で死ぬことがこんなに難しいだなんて、世の中に生きてるほとんどの人は知らないだろうね。
それを知らずに、知らないからこそ、なんとなくのイメージだけで、好き勝手なことを言ってるんだ。
自殺は悪いことだとか、自殺せずに生きてる自分たちの方が心が強くで人間として一人前なんだとか。
自分の意志で死ぬことがどんなに難しいことなのか知りもしないくせにね。知ろうともしないくせにね。
でも本当は心のどこかで気付いてるのかもしれない。だからこそ、怖がって、直視するのを避けてしまう。
目を逸らして、それこそゾンビのように、死にもせず、生きもせず、自分の意志を持たずにさまよってるんだ。
自分の意志で死ぬのがどんなに難しいことなのかは、自分の意志で死のうとしてみないとわからない。
死ぬことを直視して、本気で死のうとしない限り、わからない。
亮ちゃんは今、ほとんどの人が本当には知らない、自分の意志で死ぬことの難しさを知ってる人になったんだ」