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◆◆ したこと: ◆◆

        楽しい旅行の体験レポート
        
        夏ですね。
        連日気温が9789279721971297129度ぐらいありますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
        
        さて、気が狂うほど暑いので、というわけではありませんが、ちょいと旅行とやらにイって参りましたよ。
        と言っても、地球上のどこへも特にこれと言って行きたいところはございません。
        強いてどうしても挙げるならペルーかカナダかインドかウルグアイかポルトガルか……。なんだこのチョイス。
        
        つまり、ご存知の方にとっては結構有名な話みたいですが、
        我が国のフツーのお店で、合法的に楽しいトリップができるカプセルが売られてるんですって?
        ならば試してみるしかありません。
        
        効果やリスクなど入念に下調べをした上で、商品名を暗記して近所のお店へ行ってみる。
        あった。24カプセル入りで税込み約2500円。高っ!
        いや、でも物理的な旅行に行こうと思えば隣の県まで往復するだけでも2000円ぐらいかかるわけですから、
        それを思えばたまには。
        しかし1カプセル約100円以上の換算ですよ? 一体どこの国の国家予算ですか?
        かくなる上は万引きしようか。それとも偽札を使おうか? 諦めてお金を払おうか? まさに人生の岐路。
        じっくりと三日三晩滝に打たれて考え抜きたいところですが、店内を水浸しにするわけにはいきませんので、
        諦めて偽札を使うことにしました。日本銀行製の偽札でお支払い。みんな使ってるんだから怖くないぜイヒヒ。とかなんとか。
        
        長くなるので先に結論を書いておきますと、
        素晴らしい体験でした。予想していたのとは少し違ってましたが、
        実際に体験してみると予想以上に素晴らしいものでした。
        うまく言葉にできないのがもどかしいです。とにかく素晴らしいの一言。
        ただ、もう一回やりたいかと言えば微妙です。すごい消耗しますからね。イロイロと。主にお金とか。
        しかしこの体験は私にとって非常に価値のあるものでした。それは確実に断言できます。
        とは言うものの、マネしていいのは良い子だけですし、人におすすめするつもりもないので、製品名は書かないこととします。
        
        何しろウチほどのサイトともなると全国にン100億のファンがいらっしゃいますから、影響力というものを考慮せねばなりません。
        先日もうっかり私が「最近七味唐辛子にハマってまーす☆」などと書いたばかりに七味唐辛子の市場価格が大高騰し、
        世界中の経済が大混乱してあわや戦争かという事態にまで発展したいわゆる「七味事変」は今も皆様のご記憶に新しいことでしょう。
        あのようなピリ辛のあやまちを二度と繰り返してはなりません。
        
        したがって製品名は伏せますが、知ってるお友達が見れば「ああアレね」とわかることでしょう。
        ヤルつもりのお友達が気をつけた方がいいかもしれないと思うことに触れつつ、自分の体験の整理のために書くことにします。
        知らないお友達は私の妄想だと思ってください。
        いや、っていうか妄想ですからね。この私の妄想パワーの恐ろしさは既にここまでの文章でお分かりいただけていることと思います。
        今から書くことは全部私の妄想です。妄想ですよ〜。
        
        よーし、じゃあそんなわけで妄想を申しちゃうぞ。
        
        さて、この道の猛者は24カプセルぐらい一気にツルリとイクそうですが、
        私はこの手のことは今回が初めて。猛者のマネは憚られます。
        まずは6カプセルで様子見。
        
        結果はと言うと、ちょっと多めにアルコールを飲んだ程度の浮遊感がある程度。
        大体ネット上の情報通りです。いわゆる第1~2プラトーぐらいでしょうか。
        ただ、アルコールと違って、意識はハッキリしているのに、体が言うことを聞かなくなる感じです。
        ドアをくぐろうとすると枠に体をぶつける、キーボードが打ちにくくなる。
        これは油断すると事故になりかねませんね。たとえ少量でも、服用中は刃物、お湯、火の使用、外出は控えた方がよさそうです。
        
        午前中に飲んで、その日の昼頃がピーク。何も見えたりはしませんが、浮遊感がすごい。
        これが激しくなると意識が体の外に抜け出たりするのかな?
        夕方にはほぼ効果が抜けた感じでしたが、鈍い頭痛と微妙な吐き気が翌日中もわずかに残っていました。
        
        ひとまずここまでは大体ネット上の情報通りだということが確認できました。
        反省点としては、飲むときにカプセルから出した顆粒を奥歯で少し噛んでしまったこと。
        成分に含まれている臭化水素が水に解けると強酸性になるのだとか。歯に悪いですね。
        それと、翌日、唇の裏の皮がムケていることに気づきました。
        このせいかどうかは定かではありませんが、熱いものを飲んだわけでもない。
        カプセルから出すならオブラートは必須ですね。
        
        この時点で残り18カプセル。もう一回6カプセルを試して、その後12カプセルにするか?
        それとも一気に18カプセル行くか? ちょっと怖い。
        しかし同じことを2回試しても仕方がないので一週間後に18カプセル行くことにしました。第3プラトーを目的地に。
        
        さて、翌週。
        この日に備えて数日前からカフェインを控えておきました。
        トリップ中の食料として、料理をしなくても食べられるお菓子を用意。
        途中で寝落ちするとつまらないので前日はぐっすり眠ってあります。
        念のためハサミをビニールテープでぐるぐる巻きにしてキチガイの手の届かない場所へ。
        
        万全を期して18カプセルを一個ずつアルミシートから取り出す。めんどくさいな。
        この上カプセルを一個ずつ開けるのも面倒だし、オブラートもないし、素直にカプセルごといただくことにしました。
        片手にこんもりと18カプセル。これを飲むのか。ジャック範馬になった気分です。
        飲み切れるかな? と思いましたが意外とツルリと喉を通りました。カプセルってよくできてますね。
        さぁ、ついにやっちゃったよ。でも飲んだという実感が全然ない。

        事前情報によると、カプセルごと誤飲した場合は効果が出るのに時間がかかるとのこと。
        結局何も起きないんじゃねーの? などと思いながら部屋でアニメを見て過ごす。
        が、後半ぐらいから全然集中できない。
        エンディングの歌ぐらいの時点で画面を見てられなくなりました。

        その後しばらくダラダラ過ごしているうちに便意を催してトイレへ。
        切れの悪い下痢が時間をかけて大量に出る。便器から立ち上がるとフラフラしている。
        吐き気を感じたので、ついでに吐いておく。どうやら何らかの効き目は出ているらしい。
        この時点で服用から約1時間経過しています。
        ちなみにその後は便意も吐き気も感じることなく最後まで快適に過ごすことができました。大体ネットの情報通り。
        
        ただ、反省点が1つ。ゲロを吐いたときに歯がザラザラになりました。
        グレープフルーツなんかを食べたときの感じです。酸蝕歯って言うんですか?
        すぐにうがいをしましたが、翌日ぐらいまで違和感が残りました。
        朝イチで何も食べずに飲んだので、水ゲロしか出ませんでした。モロに酸性の液体という感じです。
        胃液自体の酸に加えて、臭化水素の酸も混じっていたのではないかなと思います。
        薬の成分も多少戻してしまったかもしれません。高いのにもったいない。
        事前情報によると、服用後に一度吐くのはお約束らしい。食べても食べなくても。
        で、どうせ吐くんだから食べるのはもったいない、と思ってしまったのですよ。
        でも歯に襲いかかる酸をゆるめる目的で、飲んだ後にでも何か食べておくべきだったかなと今は思います。
        
        さて、すっきりしてパソコンの前に戻る。
        BGMのためのプレイリストを整えてイヤホンで聴き始める。
        が、この時点でもう、頭がぐらぐらして座ってられない。布団に横たわる。
        そして目を閉じると……お、なんだこれは。目の前に道が伸びているぞ。
        もう一度目を開ける。見慣れた天井以外に何も見えない。これはアレだ。閉眼幻覚ってやつですね。
        昼間だったので目を閉じても日光がまぶたを通り抜けてくる。
        手のひらで目を覆ってみる。おお、道だ。やはり道だ。
        さっそくアイマスクを装着。
        見える。くっきり見える。ここはどこだ? 森だ。左右を木々に囲まれた小道が目の前にまっすぐに伸びている。
        よし、この道を進んでいこう。
        でも体の動かし方がわからない。と思っていたらゆっくりと視界が前進し始めました。
        
        あとはもう、ぶっ飛びました。
        最初はドライブゲームのように曲がりくねった道がずーっと続く。
        景色が次々と変化する。
        森の中。川辺。山の中。街の中。廃屋のような場所。日本庭園のような場所。農村のような場所。そして満天の星空。
        次々に移り変わる景色の中を意識がゆっくりとなめらかに流れるように進んでいく。
        
        それでいて、意識は鮮明でした。
        自分は本当は部屋で布団に寝ていて目を閉じている、ということは常に理解している。
        体も動かそうと思えば動かせる。
        試しにアイマスクを外してみると、たちまち「現実」に戻る。
        そしてアイマスクを装着すると、すぐにまた、見たこともない場所が周囲に広がっている。
        これはすごい。本当にすごい。感動です。
        アイマスクは必須ですね。
        なお、アイマスクと言ってもちゃんとしたものは持っておらず、代わりにシャツを頭部に巻いてました。
        ハタから見ると完全にキチガイです。次からは用意しておこう。反省点。
        キチガイはさておき、下手なものを頭部に巻くと窒息しないとも限りませんからね。
        
        さて、そのなんちゃってアイマスクではありますが外界の光は完全に遮断できています。
        しかし「目を閉じている」という感じがまったくしません。
        ずーっと光に包まれています。
        アイマスクを外して目を開けると「現実」が見える。しかし焦点が合わなくて、ぐわんぐわんしている。
        アイマスクをつけると、クリアで安定した、光に満ちた世界が広がっている。
        目を閉じることで本当の視覚を手に入れた、という感じです。
        
        面白いのは、自分の手が見えることです。
        アイマスクをつけたままなのに、自分の手を顔の前に持ってくると、手が見える。
        見え方の程度には波がありました。あるときは影のような見え方。あるときは明確に。

        明確に見えるときでも「実際の」手の形とは違ってました。
        右手はカニのハサミみたいな形。左手はイボイボのついたハンマーみたいな形。両手ともちょっと内側に曲がってる。
        なんだこれ? これがこの世界での私の手なのかな?
        しかし手を伸ばしても、見えるものに触ることはできませんでした。
        触ることはできませんでしたが、しかし非常にくっきりと見える。
        いろいろなモノが、目の前に、ありありと鮮明に見える。それこそ触れないのが不思議なぐらい。
        葉っぱの生い茂った木の枝。その葉っぱの一枚一枚。葉脈の一本一本までクッキリと見える。
        木造家屋の壁の木目が一本ずつクッキリと見える。
        コンクリートの柱の表面の砂粒が一粒一粒クッキリと見える。現実以上のリアルさ。
        寝そべったまま空中に腕を伸ばして、あははー、すげーリアルー、触れなーい、あははー、と手をひらひらしてました。
        ハタから見ると完全にキチガイです。
        しかし気をつけないと危険ですね。
        油断するとアイマスクをつけているということを忘れそうになります。
        今回は最後まで「自分は本当は部屋の布団で寝そべっている」という冷静な意識が残っていましたが、
        アイマスクをつけたまま動き回ると部屋がめちゃめちゃになりかねません。怪我もするかもしれない。
        と言っても「現実」の体はヘロヘロになってて立ち上がれないんですけどね。
        できれば体験中に面倒を見てくれる、いわゆるトリップシットしてくれる人がいるとありがたいですね。
        とは言え実際は難しいですから、念のために倒れやすいもの、壊れやすいもの、重いもの、カドの尖ったものは近くに置かない方がよさそうです。
        一番いいのは、そもそもこういうことをやらないことです。と、一応書いておく。
        
        体験は続く。
        いろんな場所に行きました。数え切れません。知らない場所ばかり。知ってる場所はほとんどありませんでした。
        もしかすると知っている場所もあったのかもしれませんが、「ここは知っている場所だ」という意識はありませんでした。
        すべてが「初めて来た場所」でした。
        しかし完全に未知の意味不明な場所、というのはあまりなかった気がします。
        基本的には「地球上のどこか」という感じです。それでいて、何を見ても新鮮でした。
        何気ない葉っぱや木や石が、これ以上ないぐらい鮮明で新鮮。そして美しい。
        多かったのは森の中や川辺です。
        街の中に行ったのは、記憶にある範囲では1回だけです。人はほとんどいなかったような気がします。
        一度だけ女性のような人と目が合いましたが、私と目が合うと顔が岩のような無機質なものに変化し、
        顔のパーツは下手な落書きのようになって崩れていきました。気がつくと辺りは土埃の煙る荒涼とした岩場に。
        
        全体を通して、私以外の人や存在に会うことはほとんどありませんでした。
        一度、トリップの序盤に、川辺のような場所をスクロールしているとき、
        仰向けになっている私の左後方、つまり頭の方から、ライオンのような、クマのような、馬のような、鹿のような、
        なんとも形容のし難い大型の生き物が追いかけるようにやってきて、私の方を見ていたようでした。
        噂に聞く「盟友」というやつかな? などと思いましたがよくわかりません。
        その生き物はしばらく私と併走した後、追ってくるのを止めて、後方に消えていきました。
        ちなみに川は私の左側を流れていて、その生き物は、川の水面の上か、または向こう岸にいたような気がします。
        その生き物を見かけたのはそれっきりでした。
        「川辺」という場所には何度も行きました。
        なぜか共通して、川は常に私の左側を流れていました。
        
        他に何らかの存在と言えば、トリップの終盤に、木でできた猫のような大型の存在に会いました。
        「それ」は私の足元の方から、つまり進行方向の前方からやってきて、私の右側から近づいてきました。
        その存在の頭部は大きな楕円形の分厚い平らな板でできていて、そこにマジックで描いたような顔がある。
        それが私の顔を覗き込んで「にやっ」と笑う。それを見て私は大笑いしました。
        こうして書いみると、どこに笑いのツボがあるのか全くわかりませんが、
        とにかく可笑しくて、大爆笑してました。ハタから見ると完全にキチガイです。
        さきほどのよくわからない生き物と違って、これは「木でできた」「猫(のつもりのもの)」ということが明確にわかりました。
        木製ですから猫じゃないことは一目瞭然なのですが、それでいて「猫のつもり」であることもお互いに了解済み。
        そういうバカバカしさがありました。
        それに対して、前述の生き物は「何々である」と形容することが憚られるような神々しさがあったように思います。
                
        今回行った場所の中でもっとも印象に残っているのは、
        どこか山の中の、少し開けた場所。
        川が流れている(やはり左側)。
        河原に白い柱がいくつも立っている。
        そこへ私の左後方から、低い角度で、夕日か朝日かわかりませんが、太陽のような強烈で、それでいて柔らかな光が差し込んできている。
        あたり一面が光に照らされ、川の水面と、林立する白い柱に反射してきらめいている。
        時間が停止した、光に満ち溢れた、透き通った空間。その中を意識がゆっくりと移動していく。
        圧巻でした。美しいの一言。
        ただただ美しい。形容する言葉がありません。こんな美しい場所を見たことがありません。
        
        体験中、何度か石棺に閉じ込められました。お、バッドか? と思いましたが怖いという感じは一切ありません。
        むしろ包まれていて安心できる感じ。
        石棺の壁(フタの裏)に模様がくっきり見える。何か書いてあるようにも見えるけれど読めない。
        そうこうするうちに模様とともに壁が分解して景色が変わる。
        
        どこへでも行けるという確信がありました。
        その世界の中で体を自由に動かすことはできませんでしたが、行こうと思ったところに飛んでいけるという確信がありました。
        知りたいことを知ることができると感じました。
        行くべきところに行って、正しい質問をすれば、知りたいことを知れると感じました。今のうちだと思いました。
        それで何度となく「人間がこの世に生まれてくるのはなぜか?」「感覚を持った生き物が存在する理由は何か?」
        などと声に出して叫んでました。ハタから見ると完全にキチガイですね。
        ちなみに呂律は回ってません。
        「いんえんあおーにうあーえーあえあー」みたいな声が冷静な自分の耳に聞こえてきます。
        ハタから見なくてもしっかりキチガイです。一人でやっててよかった。
        トリップシットしてくれる人がいた方が本当はいいのでしょうけど、
        こういう恥部を見せてもいいほど信頼できる人、というのはなかなか得がたいものだろうなと思います。
        なお、質問への答えが得られることは結局ありませんでした。
        せめて体験後に思い出せなくてもいいから、何かに触れることができたらいいなとは思っていたのですけど。
        今回の体験の心残りな点の一つです。

        そうこうするうちに、ふと落ち着いて、アイマスクを外すと夜になってました。
        ひょっとして目が見えなくなってるんじゃないかと少し心配してましたが、全然そんなことはない。
        意識は明晰。しかし足元はフラフラ。
        気をつけながらトイレに行って用を小用を足す。そういえば何も食べてない。でも食欲はまったくない。
        用意しておいたお菓子を少しだけ食べてみる。吐くかな? と思ったけど全く問題なし。
        ハミガキをしながら鏡を見ると両目とも瞳孔がばっくりと開いてる。頭は寝癖でボサボサ。完全にキチガイです。
        シャワーを浴びようかとも思いましたが、あまりにフラフラだったので諦めました。このコンディションで水場は怖い。
        
        布団に戻って目を閉じる。効果は少し残ってましたが、以降は大きなトビはなし。
        体はフラフラで目を開けても焦点は合わない。何かをしようと言う気はおきない。
        かと言って鬱のような無気力で苦しいというものではない。満ち足りた穏やかな気持ち。
        それ以上あの光の世界に行くことはありませんでしたが、眼を閉じるとまぶたの裏に光の痕跡が時折きらめく。
        やわらかな余韻に浸りながら布団に横になっているうちに、朝になっていました。
        
        体を起こすと少しフラついている。
        空腹という自覚はあるが食欲はない。まだ目の焦点が合わず、パソコンの画面の文字が読めない。
        歩きにくい。手足の長さと目に見える世界の距離感がつかめない。
        気をつけながら洗面所へ行って鏡を見ると、まだ瞳孔が開きっぱなし。
        頭痛や吐き気は全くありません。
        目の焦点が合わないのと、手足の距離感がつかめない状態は翌日の夕方ぐらいまで続きました。
        今これを書いている段階でも、キーボードを打ちにくい。
        もしかするとこのまま死ぬのかもしれません。悲願達成ですね。ヒャッハー。
        ちなみに肩こりが改善してました。一日中パソコンを使わずに寝てたおかげでしょうか。思わぬメリットが。
        しかし一日中暑い中で寝てたので汗まみれ。
        そういえばトリップ中、温度感はまったくなかったな。脱水症にならなくてよかった。これも反省点か。
        シャワーを浴びて部屋に戻るとすっきり。
        布団に寝そべって一息つくと、ああ、戻ってきたんだなぁ、という実感が、しみじみと沸き起こってくる。
        
        大体そんなところです。
        実際にはもっといろいろな場所に行っています。ここには書き切れません。
        覚えていないというのとは少し違う。言葉にならない。やはり言葉になりませんね。
        以上に書いたことも、あくまでも今思い出して言葉にすると、ということであって、あまり正確とは言い切れません。
        唯一正確だと言い切れるのは、ハタから見るとキチガイだったという点だけですかね。
        実は戻ってきたというのも幻覚の続きで無限ループ、というのもちょっとだけ期待してるんですが、さてどうなるでしょう?
        
        そんなわけで非常に楽しい体験でした。
        これはきっと運がよかっただけなのでしょうけど、
        全体を通して怖いとか孤独とか言ったネガティブな感覚は1回もありませんでした。
        かと言ってもう一回あの世界に行きたいかと言うと、あまりそういう気はしません。
        あの白い柱の並ぶ光のきらめく壮絶に美しい川辺も、もう一度行きたいとは特に思いません。
        ああいう美しい場所が「存在する」ことがわかった。それだけで充分です。
        
        事前に期待していたことと同じ点もあれば違う点もありました。
        閉眼幻覚といった効果の性質や持続時間。最初に便意と吐き気がくること。
        この点はネットで仕入れた情報通りでした。
        
        ネットでよく見かける情報と違っていた点としては、
        私の場合は「幾何学図形」を見ることはほとんどありませんでした。
        見えるものは常に「木」や「川」などといった具体的な物体でした。
        単純な線や面が出てきても、すぐにグニっと変形して具体的な物体になり、それを契機に景色が広がっていく感じ。
        人工物よりも自然物が多かったような気がします。
        
        あ、人工物と言えば一度、モニターが無数に並ぶドーム状の巨大な部屋の中で、
        中央に円筒上の巨大な水槽があって、青ざめた巨大な生首が白目を剥いて水槽の内側から薄ら笑いをうかべている、という場所がありました。
        モニターの1つ1つの前に研究員?のようなものがいるような気配はありましたが姿は見えませんでした。
        これ以外には、あまり「人工的(科学的)」っぽい場所はなかったように思います。
        
        宇宙空間もなかった。
        満天の星空、というのはありましたが、あくまでもどこかに寝そべって空を見上げている、という感じでした。
        トリップ中は宇宙空間だと思ってましたが、後で思うと「無限さ」「広大さ」「孤独感」といった雰囲気はありませんでした。
        そう言えば私以外の意志を持った存在がほとんど出てこなかったのに、孤独感はありませんでしたね。ずーっと静かで安らかだった。
        
        「啓示」のようなものもなかった。
        何かが得られそうな感じがしたことはありましたが、結局何もありませんでした。
        あくまでも始終キレイな景色を大量に見れたという、それだけ、と言えば単にそれだけです。
        言葉にしてしまえばそれだけですが、単にテレビなどでキレイな景色を見るのとは異質の充実感があるのは確か。
        それだけではない何かがあった。そんな気がしてなりません。
        ただ、できればもっと何か明確な、観念的な知識のようなものを持って帰りたかった、
        持って帰ることはできなくても、触れたかった、という心残りはあります。
        
        「自我の崩壊」というのもありませんでした。
        それが一体どういうものなのか、体験してみたいと言う気持ちもあったのですが、それらしい体験は今回はなし。
        どんな場所に行っても常に「私は本当は自分の部屋で寝ている」という冷静な意識が残っていました。体外離脱的なものもナシ。
        アイマスクを外せばいつでも「現実」に戻れる、ということを知っていました。
        それが「安心感」になってたのかな? 良くも悪くも。
        
        なので「アイマスクは必須ですよ!」と書こうと思っていたのですが、あんまりおすすめはしない方がいいような気がしてきました。
        いや別に何一つおすすめはしないのですけど。
        ネット上の体験談を見ると、大量に服用しても全然飛べなかった、という話をよく見かけます。
        その一方、効いてる状態でゲームをしていたとかアニメを観ていたとかいう話を見かけます。
        私が思うに、それはもったいないですね。
        この物質の主効果は閉眼幻覚です。アイマスクとイヤホンで外界を遮断する。そして効果に身を委ねる。
        おそらくそれがこの物質のたしなみ方なのだと思います。
        と、いうことは、同時に、アイマスクをつけていることを忘れると危険であろうとも思います。
        それほど「別世界」になります。
        目隠しをしてるのに全く暗くない。常に鮮明な世界の中にいる。目隠しをしていることを忘れそうになる。
        BGMを変えるためにパソコンを操作しようとして、おっとアイマスクつけっぱなしだった、ということが何度かありました。
        効果を味わえないのはもったいないかもしれませんが「現実」の情報を遮断してしまうのはリスクを伴うことであろうとは思います。
        目隠しをしてる人間が、目隠しをしてる自覚がなくなったら危険です。その自覚が常に保たれるものなのかどうかは不明です。
        
        もう1回やりたいかどうか?
        やるとしたら次は24カプセルかなと思っていますが、
        今のところ、すぐに実行したいという気持ちはありません。
        さしあたりは日常生活を送りながら今回の体験の意義について考えつつ情報収集も続けて、
        もう一度やる必要があると思う日がくればやるかもしれません。結局やらないかもしれません。

        
        
        体験後の翌日のさらに翌日。
        効果は完全に消えてます。目を閉じても何も見えない。
        そういえば目を閉じたら何も見えないのが普通なのでした。ヘンなの。いやフツーだ。
        足元のフラつきは全くなし。目の焦点も元通り。瞳孔も平常運転。キーボードも絶好調。
        なぜか食欲がない。しかし鬱で食べる気力がないというのとは違う。ただシンプルに、食べる必要を感じない。
        全般的に妙にすっきりしてます。すがすがしい。肩こりも改善している。心身ともに軽くなってます。
        音楽を聞くと踊りたくなってきてパソコンの前で踊る。どうやら完全にキチガイになったようですよ。
        
        ところで、ここまで書いてふと思ったんですが、
        これって単に「かぜ薬を飲んで丸一日ぐっすり寝たら元気になった! ちなみに何かいい夢見れた!」
        というだけのことなんじゃないでしょうか? そんな気もしてきました。
        おっと、かぜ薬って言っちゃったよ。正確にはちょっと違うんですけどね。
        いや、具体的には伏せておきますけども。ていうか私の妄想ですから。作り話作り話。
        
        では失礼します。
        今日もあなたが幸せでありますように〜。